夕べ、ゲリーが、7時半に森の散策に連れて行くと言っていたのに、誰も起きなかった。私は、小鳥のさえずりとともに目が覚め、朝日が昇るのをベランダからしばし眺めて楽しんだ。外は、吐く息が白くなる程寒い。半月が真正面に。自然を満喫してください、と、言わんばかりに、お部屋には、テレビもインターネット接続の設備もない。文明から離れて、こうやって、自然の環境を満喫できる、何というぜいたく空間。
丘の頂上から、見降ろす。空には、ぽっかり、エイのような形をした雲が。
アーサーズパスの辺りで、おそらく一番素晴しい環境を独占しているに違いない。ホテルの建物の周りの敷地は、羊を飼っている広大なファームだけでなく、いくつもの山も含まれる。これだけの土地(*6千エーカー)を管理するのは、大変なことに違いない。姉が着けていた万歩計は、1万4000歩ほど歩いたことになっていた。
(参考*1エーカー=4,046.86㎡=約1,224坪)
ホテルに戻ると、お昼時。昼食は付いていないので、サンドイッチを注文。レタスやトマト、チキン等はさんで、とても分厚くて美味。ラウンジで食べていると、年配のカップルが入ってきた。新客だ。イタリア人カップルは、1泊だけで、今朝、次の目的地に向けて発った。季節はずれで、我々だけかと思ったら、けっこう、こんなオフシーズンでも、お客がいる。やっぱり、人気なんだ。
ゲリーが出て来て、「今朝は、待ってたのに出て来なかったね~。今から、森の探索に連れて行きましょう」と言う。エ~~、今、あんなに歩いて来たばかりなのに~~!!、と思いながらも、また出かけることになった。
ちなみに、気さくなおじさん、”ゲリー”は、やっぱり、Dr.Gerry McSweeneyで、エコロジストでバイオロジストの博士号を持つ方だった。博士、失礼しました!(^^;)ゞ。
フロントにいたりして、時々、お世話くださるおっとりした中年の女性は、奥さまで、名前は アン(Ann Saunders)、教師だそう。ふたりで、1981年、モエラキ湖(Lake Moeraki)で、ウィルダネスロッジ経営を始め、アーサーズパスのこのロッジ共、経営しながら、自然環境保護の観点から、宿泊客に、植物や動物への関心を高める体験をさせてくれる。NZの自然環境保護団体の重鎮だ。
今回は、先ほど着いたカップルも一緒だ。アメリカから来たと言う。このロッジは、博士の名と共に、国際的に、高く評価されているようだ。
ゲリー博士の指示に従って、アメリカ人カップルと我々の二グループ一緒に、道標に沿って道をたどっていると、突然、ワンワンワンワン、犬の吠える声。見ると、黒白の犬が、一生懸命我々に向かって吠えている。どうやら、自分に付いて来いと言っているようだ。彼?彼女?に付いていくと、そこにゲリーがいた。ゲリーが、テスだと紹介してくれた。彼女、テスは、牧羊犬で、ご主人様に絶対服従の、とても賢い犬だ。
ブナの大木の母木(mother tree)は、その下に宿ったたくさんの子供の木々を、過酷な太陽や雨風から守り、やがてその使命を終えると、朽ち果て倒れて、若木の栄養となり、命を譲り渡すのだそうだ。若木も、たくさんの中から強い木だけが残り、弱い木々は、朽ちて倒れ、次代を担う若木の栄養となるという。
ヤドリギ(Mistletoe)の説明、ヤドリギには、2009年、2008年、1992年…といった具合に、根付いた年が書いてある。赤や黄色の花が咲く。花が咲くのは12月頃らしい。ヤドリギも宿を貸した木も、お互い助け合い、共生しているのだそうだ。棘で覆われた木がある。小鳥から実を守るために棘が発達したそうだ。苔もあれこれ種類がある。 (写真のヤドリギは、3年目のもの)
あちこちに、ブナの老木が朽ちて倒れている。朽ちた枝葉は、腐葉土となり、倒れた枝木や、幹は、ストーブの薪にも利用される。植物のライフサイクル、自然の仕組みは、ほんとに驚嘆だ!
私たちは、ゲリーに付いて、山を登り、あれこれ、植物の説明を聞く。この植物博士は、もう、植物の話になると、夢中だ。可愛くて仕方ないと言ったように、樹を撫で、草を撫で、花を愛で、木に絡みついた柔らかい草を取っては、”髭(mustache)”だといってあごにくっつけたり(写真)、説明にいとまがない。
ホテルに戻って、夕食。今日は、良く歩いた。朝の散歩と合わせて、何と、万歩計は、3万歩を越えていた!!!ふだん、よく歩いてもせいぜい7~8千歩。すごい!
3 件のコメント:
あれ、その宿り木はクリスマスの時にその下を潜るやつですか。あれって、宿り木だったのですか。で、どうして、その宿り木がクリスマスに登場するようになったの?
クリスマスの飾りによく使われますね。
その下で男女がキスをしたら結ばれるとか?
遠い昔のキリスト教の聖なる木?詳しくは知らないけど、あれこれ説があるようですね。
時間があったので、宿り木とクリスマスについて調べました。なかなか面白いです。以下のサイトにかなり詳しく楽しく解説されていました。
http://victorian.fortunecity.com/rodin/485/dictionary/mistletoe.htm
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