2009年8月22日土曜日

Anti-smacking law referendum 2


体罰禁止法に国民投票 その2

8月の始めにanti-smacking law への国民投票用紙が有権者に郵送された。今週20日(木曜日)が投票締め切りで、今日投票結果が発表された。88%がNo(この法案に反対)の回答だった。

以前(6月19日のWhat's news?)にも書いたが、この投票の質問は、

「躾の一環として親が与える体罰がNZでは犯罪になるのか?」

(Should a smack as part of good parental correction be a criminal offence in New Zealand?)

という、体罰禁止法に反対する側の思惑による質問で、これを読めば、誰しも、子供をたたいたら犯罪になる?のって、おかしい?と思い、答えは Noとなるだろう。その結果が、88%だ。

でも、この法案が成立した時、当時の首相ヘレン・クラーク(労働党)と現首相ジョン・キー(国民党)は、取るに足りない軽い体罰については、あくまで警察の良識で判断するよう強調することで合意し、法案は、体罰を禁止するものの、その訴えに対して警察の良識ある判断を求める旨明記している。

体罰禁止法によって、愛のムチを犯罪として訴えられる、あるいは、この法を利用して教師などを逆に訴えることもある?と言う心配、とは逆に、今度は、この法が無ければ、子供にひどい体罰を加えることを躾けのためと言い訳に、殴る大人がなお増えるのでは?という懸念が出てくる。

実際、NZでは、幼い子供たちが、大人のひどい暴力で死ぬと言う事件が相次いでいる。この法案があれば、まず、体罰を加えようとする前に、一息考える余裕を与えるかもしれないが、躾けのための体罰が、許されるとあっては、それをいいことに、簡単に手を出す大人が増えるのでは?と逆の心配が出てくる。
本来、力のある大人が、弱い立場の子供を殴ることが、躾けになるはずがない。心理的に脅して、恐怖心を煽るだけで、そういう体罰を受け続けた子供は、伸び伸び育たない。どこか暗い陰が育ち、やがて子供を殴る大人になることが多いと心理学者は言っている。
たいていの場合、殴る行為は、子供が泣いてうるさい、あるいは自分の思い通りにならない、といった大人の側の都合(感情的な理由)から出る。道路に飛び出したり、他人を傷つけるような危険なことをした場合、思わずオシリをペンペンすることは愛情の現われで、これは例外だと思うけど・・・愛情一杯に育てれば、子供は、素直に伸び伸び育ち、殴る必要性なんか決してないと私は思う。大人は、子供を殴る前に、イソップの「太陽と北風」の寓話を思い出して欲しい。

さて、この投票の結果、政府はこの法案をどう取り扱うのか、興味深い。
(追記:有権者のうち、投票をしたのは、54%、46%が棄権した。つまり、半分の有権者は、やはり、この国民投票を馬鹿馬鹿しい?と思った?のかも・・・)

2 件のコメント:

hiroppe さんのコメント...

例の問題ですね!子供を死なすほどに躾をする事の意味が分かりませんよね、子供を死なすほどに躾けるって言うのは、躾けと言う言葉を隠れ蓑にしている大人になりきれない大人のエゴだと思います。この問題を白か黒かと決めるのはとても難しいですよね!

Silvereye さんのコメント...

NZでは、最近、若い親、あるいは周りの者が、子供を虐待し、死に至らしめると言う事件が頻発しています。小さな国なので、余計そういった事件が目立つのでしょうけど、子供を虐待する人間は、たいてい虐待された幼児体験があると言います。
子供は、真っ白で生まれてその周囲の色に染まって行く・・・大人の、責任はすごく重いですね。