2011年5月24日火曜日

Jury Service 2

陪審員選任劇
昨日、月曜日(23日)は、陪審員召喚日。メインストリート(Main Street)にあるパーマストンノース高等・地方裁判所( Palmerston North High/District Court)まで、車で5~6分。

裁判所の入り口を入ると、目の前にガラスの仕切りが・・・押しても開かない。ン?と、ガラスの向こうにいた警備員風のたくましそうなおばさんが、左の方へ行けと指で示す。左に行くとガラスのない所がありそこを入るとその前もガラスの仕切り。その仕切りの間を左、また左、と歩くと、出口があり、前が受け付け。まるでガラスの迷路だ。やっと受付にたどり着いて恥ずかしげな私の様子を見ていたらしい受付の、これも、警備員風のおじさんが、笑いながら、ドンウォリ(Don't worry!)と慰め?てくれ、陪審員名簿で名前を確認する。さきほどのたくましいおばさんが、「陪審員できたのでしょ?左に行って2階に上がって突き当りの部屋よ」と、身体に似合わず優しい口調で案内してくれる。

2階に行くと、右側にコート(court:法廷)と書かれたドアが、3つ、窓側の、それぞれの部屋の前の待ち合い席には、3~4人グループが、二組ほど、別々に座っている。今日の裁判の被疑者?あるいは関係者の家族だろうか?

突き当たりの部屋には、すでに20数人ほどの陪審員候補者たちが座っていた。9時半までに、次々と集まって来て、最終的に老若男女合わせて、60人ほどに増えた。12人の陪審員を選ぶために、こんなにたくさんの人が召喚されるの~~??!!何故か、アジア系の顔は、私だけ・・・ほとんどが、白人で、有色人種は少ない。偏ってない??でも、無作為抽出でこうなったんだからしかたない?

やがてこの日のお世話係?のおじさんが、やってきて、名簿の名前を呼び上げ出席を確認。あれこれ説明をした後、ビデオで陪審員選任までの過程を見せる。陪審員に選任されたら4日ほど拘束されるという。

10時過ぎに、Court 1と書かれた部屋に全員案内される。両開きの木製のドアを開けて入ると、入り口の両側には、傍聴席らしき椅子が並び、その席の前は厚いガラスで二重に仕切られている。ガラスの仕切りと仕切りの間の入り口の向こうにも席が両側にあり、右の壁側のガラスで仕切られた所にも椅子がある。ここは、被疑者が座る所らしい。左中央壁側には12席。これが、陪審員席。傍聴席の椅子の数は、60人ほどの集団には足りず、10人ほどが立ったまま。

やがて、裁判官、検察側(prosecution)、弁護人(defence)、被告人(defendant)と警備官が出てきて、全員起立。裁判官のあいさつの後、若い女性係官が今回の裁判の内容をかいつまんで説明。

「・・・2006年X月X日、児童虐待(child abuse)罪で起訴される(indicted)、被疑者は、無罪(not guilty)を主張。2007年X月X日、再び児童虐待罪で起訴される。被疑者無罪を主張・・・」

真っ黒な眉が太く濃く、モジャモジャあごひげを蓄え、袖をたくし上げた腕には、手の甲まで黒っぽいタトゥー(Moko:マオリ文化の入れ墨)を施した30~50代?らしき、強面の被疑者。マオリかな?と、思った瞬間、ジロリと、こちらを睨んだ。眼と眼が合って、ドキリ・・・思わず、陪審員に当たりませんように・・・と、心の中で願う。

その後、係官が、陪審員候補者の名前の入った箱から、一枚抜いて名前を呼ぶ。呼ばれた人は、世話係りのおじさんの所に行く。聖書を持たされ陪審員席へ。3番目に呼ばれた女性に、裁判官が、・・・ チャレンジド・・・(challenge: 異議申し立て)と言う。と、その呼ばれた女性は退席。

次々と、名前を呼ばれては、チャレンジされて、また抽選、といった行程を経て、どうにか、12人揃った。年齢、性別、人種その他、諸々の条件を見て、偏らないよう、被疑者に不利にならないよう、陪審員を慎重に選ぶために、チャレンジされる。今回、検察側、弁護側からのチャレンジは無かった。

世話役のおじさんが、この12人を陪審員席の左側にある陪審員控え室に案内した。フォアパーソン(foreperson:陪審員長)を決めるためだ。やがて、何やらメモみたいなものを持っておじさんだけが戻ってきた。その紙を、裁判官、検察官、弁護人に見せ、弁護人が、何やら被疑者に相談している。その後、裁判官の、「陪審員のひとりが、今週大切な試験を控えているため辞退したいとのことで、再抽選します」という言葉で、係員が、また、抽選し、呼ばれた女性が、一人の男性と入れ替わりで陪審員控え室に入って行った。

しばらく時間がかかったが、どうやら、フォアパーソンが決まったよう。全員出てきて、着席。女性が一人増えて4人、男性8人の構成で、フォアパーソンは、中で一番年配らしい女性が引き受けた。起立した12人は、聖書に手を置いて、フェアな精神で陪審員の責務を負うことを裁判官に宣誓。裁判官が、陪審員選任終了及びねぎらいのあいさつ。

これにて、陪審員選任劇は、終わり。残りの50名ほどは、無罪放免・・・・

4月4日付けで陪審員召喚状を受け取ってから、何となく、気が重かった。内心、ちょっぴり、やってみたい好奇心もあったんだけど、とりあえず、選ばれなくて、ホ~~~と、一安心。それに、裁判所の中や、陪審員選任の様子を見られるなんて、めったにあることじゃない。とても貴重な経験だった。

参考サイト:諸外国の憲法事情(NZの歴史が詳しく載っています。興味のある方はどうぞ)

1 件のコメント:

hiroppe さんのコメント...

陪審員に選ばれちゃったのですね!プレッシャーでしたね。選ばれたら国民の義務として断るわけには行かないと思いますが、人が人を裁くって、本当に難しく、後々悩みますよね。でも最終的には肩の荷が下りましたね!
選ばれても。貴女だったら十分に責任は果たせると思います。日本も陪審員制度が用いられるようになってからは、選ばれた人は、任務終了後は、心のケアが欲しいとニュースで話していました。